一腹の子

 バナナ・ペーパー・プロジェクトでは、お客様を「クライアント」とは呼ばずに「バナナ・パートナー」と、エンフエ村でバナナの繊維取りをしている皆を「スタッフ」と呼ばずに「バナナ・チーム」と呼んででいます。ペオさん曰く「言霊(ことだま)を大切にしたいから」、とのこと。

 言葉はメモリー・スティック。大容量の記憶媒体のように、歴史やその背景、先人たちの様々な思いや思わくを保存・内蔵していて、それが何かの拍子に突然始動する不思議な機能を持っているのかもしれません。

 語源辞典によれば、「staff(スタッフ)」は古くから武器としての「棒」という意味に使われたとのこと。士官の詰所を表す「職杖」として立てられたことから、意味が一般化して「大将を補佐する将校の一団」、「職員、社員」となりました。例えば「会社のスタッフ」という言葉には「会社が戦うための道具」という意味合いが見え隠れします。

 一方、「team(チーム)」の元々の意味は「導く」、「生ずる」。ついで「出産」、「一腹の子」という意味に使われたそうです。そこから、ベースボール・チーム、チーム・プレイのように、「密接に結びついたグループ」へと意味が拡張しました。つまり、「チーム」とは「同じ母親から生まれた子」。戦いの道具を意味したスタッフとでは、その言葉の成り立ちが大きく違いそうです。

 昨年、 エンフエ村では「村のオリンピック」が開催されました。主催はサウス・ルアングワ国立公園を守る環境保護団体SLCS (South Luangwa Conservation Society)。バナナチームも有志が主体となり、ネットボールの試合に参加することに。団体名は「バナナ・ペーパー・チーム」で決定。

エンフエ村のオリンピック バナナ・ペーパー・チームとサポーター

エンフエ村のオリンピック バナナ・ペーパー・チームとサポーター

対センター・ストライカー戦

 8月に訪れた際に、親善試合を観戦することができました。対戦相手は強豪「センター・ストライカー」。試合開始のホイッスルがなると同時に、親善が目的とは思えないほど白熱したムードに。「バナナ・ペーパー・チーム」は幾度となくピンチを迎えます。その時、サポーターのスーザンさんの歌声が聞こえてきました。ビットリースさん、グレースさんがそれに続き、やがて子どもから大人までが歌い踊る大合唱に。

  ♪ Kuyambayamba WaBanana Kulela Ana
    クヤンバヤンバ ワバナナ  クレラ アナア


 直訳すると、Banana,  just starting taking care children. 「バナナチームは子育て(=人生において大切でエキサイティングな挑戦)を始めた!」。結婚式など人生の新しい門出を祝福し応援する歌だそうです。

 やがて、三人はダンスのステップを踏みながら聡子さんの前に移動。バナナの歌詞の部分を”サトコ”に代えて歌い踊りました。

  ♪ Kuyambayamba WaStoko Kulela Ana ♪
    クヤンバヤンバ ワサトコ クレラ アナア


 次は、”ペオ”、そして”ビリー”に歌詞を代えて。

  ♪ Kuyambayamba WaPeo Kulela Ana
    Kuyambayamba WaBilly Kulela Ana  ♪
    クヤンバヤンバ ワペオ クレラ アナア
    クヤンバヤンバ ワビリー クレラ アナア


 僕の名前でも。

  ♪ Kuyambayamba WaHiro Kulela Ana♪
    クヤンバヤンバ ワヒロ クレラ アナア


 フェアトレードのバナナ・ペーパーは大きくエキサイティングなチャレンジ。その挑戦の旅をあなたと共に歩めること、遠いアフリカの人々と繋がれることは何物にも代えがたい喜びです。同じチーム、同じ母から生まれた一腹の子どもとして。

▽ワン・プラネット・ペーパーPV
 映像の最後に、この応援歌を挿入しました。歌の後に聞こえる歓声は、バナナ・ペーパー・チームがゴールを決めた時のもの。喜んだ子ども達は、ゲームの途中でもお構いなくコート中央に向かって駆け出していったのでした。

バナナ・ペーパーとは