15年前のボブ

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2011年夏、僕はボブ・サムさんと奈良裕之さんが行った「ともしびの巡礼」北海道ツアーに撮影同行させていただきました。ある時期『地球交響曲』を自主上映し続けたこと、そして、そのきっかけになったのは『第三番』に途中までしか収録されていなかったボブの語りの続きが、どうしても気になってしょうがなかったからだったことを、僕はボブに伝えました。ボブはしばらく僕を見つめた後に、にっこりと笑いこう言ったのです。

「I was just a kid in that movie.」
(あの映画の私はただの子供でした)

『第三番』が撮影されたのは15年前。その後、ボブがどんな人生を送ったのかを遠い風の噂で耳にしたことがあるような気がします。また、ボブに初めて逢ったのは7年前の日比谷野外音楽堂でのイベントでした。当時ボブの体調は最悪で、まっすぐ歩くことさえできない様子でした。

今のボブは違います。足の筋肉は力強く、立ち姿も美しい。『第三番』でとても印象的だったと感じていた声も、今のほうがずっと太く深いのです。健康を取り戻したのは、日本のおかげだとボブは言います。日本の食べ物、鍼灸治療、ヨガ、自然、そして今の彼を支えている日本の人々。

昨年行われた『ともしびの巡礼』は、健康を取り戻したボブの日本への恩返しだったのかもしれません。