ボブ・サム / Bob Sam

アラスカ先住民クリンギット族。墓守、ストーリーテラー。

30代前半に、住宅開発のために掘り返された祖先の墓地を目の当たりにし、開発計画を中止させ、散乱した遺体や遺骨の再埋葬、墓地の復興を一人で始める。それ以来25年以上にわたり、祖先の墓地・聖地の保護と修復の活動を続け、10万基以上の墓を修復、再埋葬した遺体は500体以上になる。また、各地に持ち去られた祖先の遺品、遺体や遺骨を家族のもとに戻す返還運動(リペイトリエーション)においても中心的役割を担う。これらの活動から、長老たちに神話の語り手として選ばれ、20年以上にわたり世界各地でストーリーテリングを行う。

ドッグ・サーモンの氏族、およびアラスカ南東部のジュノー周辺地域(オーク地域)のリーダーでもある。アラスカの自然写真家 故・星野道夫氏と親交が深く、その出逢いは『森と氷河と鯨』(星野道夫著/世界文化社)などにも描かれている。97年には映画『地球交響曲(ガイアシンフォニー)第三番』に出演、以来日本各地で神話を語り続けている。

著書:『かぜがおうちをみつけるまで』(谷川俊太郎訳/スイッチ・パブリッシング)


(*) 文:DVD『ともしびの巡礼 ワタリガラスの神話と祈りの音』フォトブックより